東京高等裁判所 平成3年(行コ)111号 判決 1992年2月27日
控訴人
戸邉壽美惠
右訴訟代理人弁護士
助川正夫
被控訴人
千葉県知事沼田武
右指定代理人
鈴木孝雄
外七名
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が野田ガス株式会社に対し平成三年三月二七日付けでした原判決別紙物件目録(一)記載の土地部分についての行政財産使用許可処分を取り消す。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文と同旨
第二 当事者の主張
原判決事実欄第二当事者の主張に記載のとおりである。
第三 証拠関係<省略>
理由
一控訴人は、本件土地部分に本件処分のもとに設置されたガス製圧器は、その接合部分が自然破損、地震などの衝撃により破損しやすく、また、弁の開閉栓がガスの流失を生じやすい構造になっているので、ガス漏れによるガス爆発の危険が高く、本件処分により控訴人の土地及び建物並びに控訴人を含めた近隣住民の安全な生活を享受する権利が損なわれるおそれがある旨主張する。
しかしながら、控訴人の右主張は個別的、具体的な主張の裏付けを伴うものではなく、本件記録上も右事実をうかがわせる資料はまったく見当たらない(本件ガス製圧器の設置について、控訴人指摘のような技術上の基準に適合しない点が仮にあるとしても、その内容からして当然に危険の発生と結びつくものではない。)。結局のところ、控訴人は、自己の権利利益に対する侵害のおそれを一般的、抽象的に主張するにすぎないものというほかない。
してみると、控訴人は、本件処分の取消を訴求するにつき法律上の利益を有しないものというべきである。
二よって、本件訴えを却下した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官佐藤繁 裁判官岩井俊 裁判官坂井満)